女性農業委員インタビュー

齋藤はつ子さん(66) 鳴門市農業委員

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「農家を継いだ長男に継いだことを後悔して欲しくないんです。だから企業で働くサラリーマンと同じくらいの給料、そして年金を将来もらえるようにするのが親の責任だと考えています」と語るのは、齊藤はつ子さん。
 齊藤さんは、夫と息子の3人で、牛を75頭飼育し酪農業を営む一方で、10㌶の農地で水稲を栽培している専業農家だ。当時では珍しく父の代から女性後継者として経営を受け継ぎ、2㌶だった農地を約5倍の経営面積にまで広げた。経営者としての手腕もさることながら、話し出したら止まらない地域の相談役のおばさんとしても有名である。
 「地域の祭りやお祝い事の際には、私自慢のお赤飯を炊いて地域に配ってまわります。繋がりを持ち、気遣うことは農家にとっては重要なんです。農業委員の仕事についても地域との繋がりが大事ですからね」と笑顔で語る。
 そんな齊藤さんは、父が農業委員の時から農業者年金の普及推進を手伝っており、制度への理解も深い。経営移譲の際には早めの手続きを進め、受給のためのアドバイスも行っている。「将来、後継者に少しでも余裕を持たせて、農業っていいなと思わせてあげたい。それは農家の後継者として選んだ親の責任だと思います。1万円遊びに使うなら、辛抱してでも後継者を思い年金にかけてほしい」と思いを語った。
 昨年度は農業後継者3名の加入を促し、積極的に普及推進に力を入れる。何十年後、進めてくれて良かったと齊藤さんに感謝する人も少なくないだろう。